今回はブルースクリーン状態になってしまったNintendo Switchの基板修理をします。
電源を入れると画面が真っ青のままで起動しない状態です。
以前、Nintendo Switch liteのブルースクリーン修理をした際はCPUのリフローだけで復旧しましたが、今回は別の部分が故障しており修理内容も濃いものになったので記事にします。
ということで早速修理していきます。
※当記事を読んで作業の真似をされて、万が一製品が故障したり、
不慮の事故が起こっても私は責任が負えませんので全て自己責任でお願いします。
ブルースクリーンになってしまう主な要因は基板に実装されているCPU、もしくはメモリチップのはんだが剥離してしまうことだと言われています。
どのチップのはんだが剥離しているかを特定する為に、CPU及びメモリチップをそれぞれ指でグッと押さえつけて起動させます。
すると故障している箇所を押し込んでいるときだけ正常に起動するようになるはずです。
上記のやり方で簡単に故障個所を特定できることもあればどれを押し込んでもブルースクリーン状態のまま、ということもありますので特定出来ればラッキー、くらいに思っていていください。
今回は赤枠で囲んだ上のメモリチップ部分を押し込むと正常に起動したのでほぼ上のメモリチップ部分が故障しているものと思われます。
ということで、以前Switch liteのブルースクリーン修理で行ったリフロー修理を行いましたが復旧しませんでした。
ということで本格的な基板修理が必要だとうことがわかりましたのでガッツリ修理していきましょう!
準備するもの
・精密プラスドライバ (100円均一のもので大丈夫です)
・綿棒 (白いものが好ましいです)
・無水エタノール (そんなに使うものではないので小容量でいいです)
・こて台
・はんだ
・ピンセット (何本かセットになっているのが今後便利です)
あると便利なもの
本体の分解は記事にするほどのことではないので分解後の作業を記事にします。
1.メモリチップを取り外す
まずは先ほど特定した故障の原因となっているメモリチップを取り外します。
メモリチップと基板の間にフラックスを流し込み、ホットエアーで熱して取り外します。
ホットエアーの設定は450℃、風量は4~5程度にしてメモリチップ全体が温まるように熱風を当てます。
しばらく熱風を当てたあとピンセットでメモリチップを軽くつついてみて、プルプルと動くようであればはんだがしっかりと溶けているので、ピンセットでつまみ上げればメモリチップを取り外せるはずです。
プルプルと動かない状態で取り外そうとすると基板が損傷してしまう可能性があるのでしっかりと熱してプルプル動く状態になっていることを確認してからメモリチップを持ち上げてください。
無事にメモリチップを取り外せました。
基板に残ったはんだをはんだごてとはんだ吸収線を使ってきれいに吸い取ってからエタノールで残留したフラックスを清掃しておきます。
何か所かランドが剥がれてしまっていて、1か所だけ回路の修復を行う必要がある箇所があるのでエナメル線で回路の修復をします。
修復中の写真は取り忘れてしまってありません、ごめんなさい。
また違う機会に回路の修復方法も記事にします。
メモリチップの取り外しと回路の修復が終わったらメモリチップをリボール出来る状態となります。
次はメモリチップを基板に取り付ける為にはんだを乗せていきます。
2.メモリチップをリボールする
取り外したメモリチップをリボールする準備が整ったので早速リボールしていきます。
取り外したメモリチップに残ったはんだをはんだ吸収線できれいに吸い取ります。
そしてエタノールを含ませた綿棒でしっかりと残留したフラックスを取り除きます。
はんだもフラックスも除去出来たらフラックスを薄く塗ります。
そこにはんだボールを1つずつ並べていきます。
(以前、バックライトICチップ交換で使用したステンシルを使う方が早いのですが今回はステンシルを使わない方法でやってみました。)
ひたすらはんだボールを並べ続けて、すべてのランド上にはんだボールを並べ終えたら上からヒートガンで熱してはんだボールをメモリチップにはんだ付けします。
フラックスを塗りすぎていると熱している間にはんだボールが動いてしまい、うまくリボール出来ないのでフラックスは指で薄く塗り広げるといいと思います。
450℃、風量3~4程度で少し遠めから熱風を当てて、メモリチップがしっかりと温まってきたら少しずつ熱風を近づけていくようにするとうまくリボール出来るはずです。
上の写真がうまくリボール出来たメモリチップです。
このメモリチップを回路を修復した箇所にはんだ付けします。
取り付ける箇所に薄くフラックスを塗布してメモリチップを乗せます。
しっかりと位置合わせをしたら450℃、風量3~4程度でメモリチップ全体を熱するようにハンドピースを常に動かし続けながら熱風を当て続けます。
ある程度熱してからピンセット等で軽くつついてメモリチップがプルプルと動く状態になればしっかりはんだ付け出来ていると思います。
これでメモリチップのリボール作業は完了です。
3.組み上げて動作確認をしてみる
メモリチップのリボールが終わったので基板をしっかりと冷ましてから元通りに組み上げます。
成功していればブルースクリーン状態ではなくなっているはずです。
ブルースクリーン状態から復旧しました!
端末が弓なりに歪んでいた為、液晶に少しダメージが出ているようですが機能的には問題なく使えそうでした。
このようにブルースクリーン状態からでも復旧させることが出来ました。
基板自体が歪んでいるのでいつまで使えるかはわかりませんが無茶な使い方をしなければしばらくは使えるのではないでしょうか。
端末を長時間使用していると内部に熱がこもり、高熱になりすぎて曲がってくるそうです。
その基板の歪みが今回のようなメモリチップの接点剥離やはんだのひび割れを起こすらしいです。
ブルースクリーン状態になってしまうと簡単に直すことは出来ないので使用するときは本体を冷やしながら使うように心がけてください。
純正のドックを使用していると構造上熱がこもりやすく、すぐに曲がってしまうようなので冷却ファンを使用したり、本体を覆わないタイプのドックを使うなどした方が長く本体を使っていけると思います。
少しの時間しか使わない場合でもゲーム実況用の動画を録画しながらのプレイだと結構本体に負担がかかるようで本体が曲がりやすいので上記の対策は絶対にオススメです。
今回のようなリボール作業はなかなか簡単に出来ることではないので大事なデータがあったり、端末を長く使いたい方はしっかり対策をしてから使ってくださいね。
こういう修理が副業として出来ればすごく儲かりそうなのになぁといつも思っていますがどうすればいいんでしょうか。
いつもこんなこと言ってますが実現出来るんでしょうかね...